おいしさをつくる、調味料の粒と粉。
みなさま、「粉バナ」をご覧いただきありがとうございます! 編集部員の粉花です。ダルトン粉体機械事業部マガジン「粉バナ」では、粉や粒、粉体機械にまつわる情報をわかりやすくお伝えしています。
気がつけば、もう年の瀬。この時期、年末年始の準備をしている方も多いかもしれませんね。私はおせちをつくるための調味料を買いに行ったら、調味料には「粉」と「粒」があると気がつきました。どちらも溶かしたり混ぜたりして使うのが一般的なのに、どうして粉と粒の状態があるのでしょう? 不思議に思ったので、ダルトモ先輩に質問してみました。
調味料にいろいろな状態があるのはナゼ?
粉花「この間、調味料を買うためにスーパーへ行ったら、たくさんの種類があって驚きました。素材や味はもちろん、カタチもいろいろありました」
ダルトモ先輩「料理に欠かせない調味料は、その組み合わせや量などによって味が決まります。また、調理方法もさまざまなので、調理のしやすさやおいしさを追求して多様な状態が生まれていきました。思いつくだけでも液体やペースト、半固体状のもの、ジュレのような新しいもの登場していますよね。もちろん、粉や粒といった固体もあります。サイズもさまざまで、粒のなかにも塩やコショウといった小さなものからキューブタイプのブイヨンなど千差万別です」
粉花「だしだけでも、液体のめんつゆや顆粒だし、粉末もあって、どれを選べばいいのか迷いましたよ〜」
ダルトモ先輩「それぞれの状態には特徴があって、使う場面や目的にあわせて工夫されています。たとえば、めんつゆに液体が多いのは、ストレートでそのまま使うか、水で薄めるから。粉状だとそのまま使えないし、冷たい水には溶けにくいこともあります。また、風味がついている顆粒のだしは手軽においしいおだしが取れるし、長期で保存できるのも大きなメリットです」
粉花「なるほど、ちゃんと理由があるんですね」
ダルトモ先輩「調味料以外でも、料理にはさまざまな粉を使いますよね。それら粉のサイズも使いやすさに関わってくるのですよ。素材にまぶして使うこともある小麦粉やかたくり粉は、粒子が大きいと均一に広がらず、ムラができやすくなります。お菓子づくりで活躍する粉糖も、微細な粉だからきれいにふりかけられてケーキの見た目を美しく仕上げられるのです」
状態によって、特性や風味が変わる。
ダルトモ先輩「ところで、粉花ちゃんは料理にスパイスを使いますか?」
粉花「よく使います。なかでもコショウが大好きで、どんな料理にもふりかけてしまいます! そういえば、コショウにも粉と粒がありますよね」
ダルトモ先輩「そのとおり! コショウの代表格であるブラックペッパーで説明すると、原型をそのまま乾燥させた〈ホール〉が一番大きな粒で、あらく挽いた〈あらびき〉、粉末状にした〈パウダー〉などさまざまなサイズがある。スパイスの香りは植物の組織や細胞の中に閉じ込められているから、それを壊すことで独自の芳香を楽しめます。細かく砕いたパウダーは組織や細胞が壊れているから、すばやく香りが広がるんですよ。その反面、香りが飛びやすくなるデメリットがあります。粒の大きなホールはすぐに香りたつことはありませんが、たった香りが飛びにくいというメリットがある。だから、パウダーのコショウは料理の仕上げに、ホールは煮込み料理に適しているとされています。ホールとパウダーの中間サイズであるあらびきコショウは、噛んで組織を壊すと香りが広がるという特徴があるから風味づけによく使われます」
粉花「カリッと噛んだときに口の中に広がる香りがたまらないんです! 私はパスタやスープにトッピングして味のアクセントにしています」
ダルトモ先輩「さらにコショウの特徴である辛味も、粒子が細かくなるほど強く感じられます。調理方法や好みによって、粒の大きさを選んでみるといいですよ」
粉花「なるほど! とても参考になります!!」
粒の大きさは、コーヒーの風味にも影響する!?
ダルトモ先輩「粒の大きさで風味が変わるのは、スパイスだけではありません。粉花ちゃんはコーヒー好きで自分で豆を挽いて飲むこともあるそうですが、ローストしたコーヒー豆を挽くときに粗さの調節はしますか?」
粉花「はい。気分によって変えています。いつもは中挽きですけど、たまに粗挽きにしたりして」
ダルトモ先輩「コーヒーは風味や味、ドリップ方法などを考えて、微粉にしないで粒子を残しているんですよ。一般的に細挽きは0.5mm〜1mm、中挽きは1mm〜1.5mm、粗挽きで1.5mm〜2mmくらいだといわれます。同じ抽出方法で入れた場合、細かいものは苦めになり、雑味も入って複雑な味わいになります。一方、粗めのものはきれいな抽出になり、香りを引き立てると思います。粉花ちゃん好みの中挽きは多くの人が好む粒の大きさで、家庭でのペーパードリップにもっとも適しているそうですよ」
粉花「実は、香りや味の違いをそんなにわかっていなかったんですけど(苦笑)。これからは違いを楽しみながら飲んでみます!」
粉体機械は調味料づくりでも大活躍!
粉花「粉体機械は調味料づくりでも活躍しているんですか?」
ダルトモ先輩「食品工場をはじめ、たくさんの現場で活躍していますよ! 一例として、家庭料理でよく使われる和風の顆粒だしの工程を説明しましょう。主原料となるカツオ節や昆布は大きなかまたりなので、そのままでは使えません。まずは粉砕機で砕き、細かな粉の状態にします。カツオ節は硬いので、好みのサイズになるまで数回にわけて粉砕するケースも多いです。次は副素材との混ぜ合わせ。顆粒だしは多様なうま味をかけ合わせて風味をアップさせているので、粉砕した主原料の粉に調味料などを加えて練り合わせます。ここで活躍するのが混練機で、実は混練の工程は非常に高度な技術が求められるのです」
粉花「ぐるぐると混ぜるだけじゃダメなんですか?」
ダルトモ先輩「主原料と副素材となる調味料では、量や状態が違いますからね。たとえば、乾燥しているカツオ粉に粘度のある調味料を短時間で均一に混ぜるのは、とてもむずかしいのです。さらに、商品として発売するものだから、大量の素材を常に同じ状態になるよう仕上げないといけません」
粉花「人の手でやるのはむずかしいし、効率も悪そうですね…」
ダルトモ先輩「だから、最適に設計された専用の機械が必要になるのです! 顆粒だしづくりでは、素材の練り混ぜを終えると造粒という粒をつくる工程に入ります。混練の作業で加水して適度な湿度をもたせた原料をスクリーンの穴に押し出し、好みの大きさの粒にするのです。顆粒だしは1mm程度の円筒形にすることが多いんですけど、溶けやすさと保存しやすさを考慮したサイズだといわれています。ダルトンの造粒機なら直径0.3mmから1cm近いものまでバリエーション豊かにつくれるし、長さもいろいろあって───」
粉花「ストップ! ダルトモ先輩が大好きな造粒の話はまた聞きますから、顆粒だしの工程にもどりましょう。粒にしたあとは、どうするのですか?」
ダルトモ先輩「粒にしたあとは必要に応じて乾燥機で水分を調整したり、分級機で粒のサイズをそろえたりします。この分級という作業もおもしろくて、ふるいの原理でサイズ別に分けていって……もっと語りたいのですが、長くなるので次の回で詳しく説明するとしましょう」
粉花「はい。その話は次回に! 今回お話を聞いて、調味料をつくるためにいろいろな粉体機械が黒子として働いていることがわかりました。ありがとうございます! 次に調味料を使うときには、ダルトンの粉体機械の奮闘にも思いを馳せてみます♪」
ダルトモ先輩「そこまでする必要はないと思いますけど(笑)。でも、おいしい調味料つくるために粉体機械がひそかにがんばっていることを知ってもらえるとうれしいですね!」
最後までおつきあいいただき、ありがとうございます! 調味料の状態やサイズがおいしさに影響していることがわかり、料理がもっと楽しくなりました。みなさんも、調味料を使うときに〈なぜ、この状態なのか〉〈どのような工程でつくられているのか〉を想像してみてくださいね!
次回のテーマは、粉をわける「分級」。ちょっとマニアックなテーマですが、わかりやすく解説するので、チェックしてくださいね!