そもそも「粉体」ってナニ?
みなさん、こんにちは。ダルトン粉体機械事業部マガジン「粉バナ」編集部員の粉花です。本日もご覧いただきありがとうございます!
私たちが取り扱う粉体機械は、粉をつくったり、混ぜたり、わけたりする機械です。「粉の基本がわからないと粉体機械も理解できないっ」ということで、今回は「粉のいろは」を社内で粉博士とも呼ばれるダルトモ先輩にイチから教えてもらいます!
「粉」と「粉体」って同じもの?
粉花「そもそも『粉』ってなんですか?」
ダルトモ先輩「基本のキの質問ですね。地球上にある物質には気体・液体・固体という3つの状態があるのを知っていると思いますが、粉は固体の一種です。ひとことで固体といっても、かたまりや粒などさまざまな種類があって〈粉は固体が細かく砕けた、とても小さな状態にあるもの〉を指します」
粉花「私たちの粉体機械事業部では『粒』も扱いますよね。粉と粒の違いは大きさですか?」
ダルトモ先輩「基本的にはそうです。かたまりを砕いて小さくすると粒になり、さらに細かくすると粉になります。ただし、粉と粒を区別する基準は明確に定まっていなくて、業界や用途によっても異なります。一般的には、50μm~1mm以上を粒、3μm~1mm未満を粉と呼ぶことが多いですね。この〈μm(マイクロメートル)〉は長さの単位で、1μmは1mmの1000分の1です」
粉花「1mmの1000分の1ですかっ。細かすぎて区別できる自信がありません…」
ダルトモ先輩「さらに小さな『ナノ粒子』というものもあるのですが、専門的になるのでまたの機会に説明しましょう。今回は粉と粒を感覚的に区別する方法をひとつ教えますね。まず、手のひらに物質を乗せてみてください。手と手をすり合わせて、ザラザラとした感触なら粒、サラサラで指紋や手相に入り込んでしまったら粉。小麦粉はサラサラで、塩やグラニュー糖はザラザラしているのがわかりますか?」
粉花「小麦粉は粉で、塩やグラニュー糖は粒…確かに! あと、私たちは『粉体』や『粉粒体』という言葉もよく使います。これらは粉と同じ意味?」
ダルトモ先輩「粉体や粉粒体という言葉には、〈粉や粒など微小な固体が集まったもの〉という考え方があります。つまり、粉体や粉粒体は、粉や粒のことを含んだ大きなカテゴリーといえるのです。そういう意味では、粉体と粉は同じだと考えていいのではないでしょうか」
なぜ、粉にする必要があるの?
粉花「粉はかたまりなどを砕いて細かくした状態と教えてもらいましたけど、どうしてわざわざ粉にしているんですか?」
ダルトモ先輩「それを説明する前に、こちらから質問です。自然界には、どんな状態の物質が多いと思いますか?」
粉花「木や草花、土、水、あと空気でしょ…あれ? 粉の状態のモノがない??」
ダルトモ先輩「実は、自然界には粉の状態の物質がほとんどないのです。植物や鉱物を思い出してみてください。ほとんどは、かたまりや粒の形状で存在しているでしょう。これらを素材として加工しようとすると、手間と時間が非常にかかります。そこで、いったん粉にして加工しやすくするのです。日常の食器として使う焼き物も、原料の土や石を砕いて粉にし、水を加えて粘土にしてから好みのカタチやサイズに成形していますよね。もちろん、大きな石を削ってカタチをつくることも可能ですけど」
粉花「むちゃくちゃ大変だし、使いにくいです!」
ダルトモ先輩「そのほかにも、粉にはほかの物質と混ざりやすいという特性があります。風邪薬には多種多様な有効成分が含まれますが、それら原薬を同じサイズの粉にすると均一に混ざりやすくなります。混ぜ合わせた散薬を錠剤にするときも、水などの添加物を加えることで成形しやすくなる。このように、〈粉はいろいろなものに加工しやすい状態〉なのです。素材を粉にして製品にするから、私たちが暮らしの中で使っているモノのほとんどは粉からできているといっても過言ではないのですよ」
小麦粉のカタチは丸い。
粉花「粉はとっても小さいですけど、カタチはあるんですか?」
ダルトモ先輩「いい質問ですね! 肉眼でひとつひとつ認識できないほど微細な固体である粉ですが、それぞれ異なる形状をしています。たとえば、粉の代表格である小麦粉のカタチは丸く、医薬品となる原薬はキザギザとした不規則なカタチをしている場合が多いのですよ」
粉花「カタチが異なるのには、なにか理由がありますか?」
ダルトモ先輩「丸い形状には、水分など物質を含むと均等に膨張しやすいという特徴があります。小麦粉でつくったパンがきれいに膨らむのも、小麦粉が丸いカタチをしているからこそ。一方の不規則なカタチは、ほかの物質と絡みやすいという特性をもっています。だから、さまざまな有効成分と混ぜ合わせる必要がある医薬品の粉は、丸いカタチではなく、ギザギザと角張っているものが多くみられます」
粉花「小麦粉と同じ食品の塩や砂糖は丸くないですよね。おいしさに影響しませんか」
ダルトモ先輩「物質の角をとって丸いカタチにするのは、とても手間がかかる作業なのです。塩や砂糖といった調味料は溶かして使うケースがほとんどなので、わざわざ手間をかけて丸型にする必要がないのだと思いますよ」
どうやって、粉にするの?
粉花「粉のカタチは、粉にする方法によっても変わるんですよね?」
ダルトモ先輩「そのとおり! 粉にする方法はいくつかあって、代表的な〈砕く〉と〈すりつぶす〉でも形状は変わります。ハンマーで砕くと角のある不規則なカタチになりやすいし、すりつぶすと角がとれて丸くなる。石臼でひいた抹茶がなめらかなのは、丁寧にすりつぶして丸みを帯びたカタチになっているからなんですよ」
粉花「用途によって、粉にする方法を変えるのですね!」
ダルトモ先輩「さらにサイズを変える必要もあるから、ダルトンの粉砕機械にはたくさんの種類があります。たとえば、高速で回転するハンマーと特殊形状のライニングの間で粉砕する『アトマイザー』は、とても細かい粉をつくるのが得意です。円筒スクリーンと回転ナイフを備えている『パワーミル』という機械は、解砕と整粒が一台でできるというメリットを持っています」
ダルトモ先輩「このほかにも、いろいろな機械があって───」
粉花「ありがとうございます! (話が長くなりそうなので)また教えてくださいね!」
最後までお読みいただき、ありがとうございます! 「粉のいろは」をお楽しみいただけたでしょうか。私は「小麦粉は丸いカタチをしているんだよ〜」と誰かにいいたくなりました。みなさんも話のネタにしてみてくださいね!
さて、次回は「粉は魔物」といわれる秘密をダルトモ先輩に聞いてみます。お楽しみに〜。