「分級」ってなに。なぜわけるの?
みなさま、こんにちは。「粉バナ」編集部員の粉花(こはな)です。今日も記事をご覧いただき、ありがとうございます!
さて、みなさまは「分級(ぶんきゅう)」という言葉をご存じでしょうか? 粉体業界でよく使う用語ですが、私は粉体機械事業部に配属されるまでまったく知りませんでした。
というわけで、今回のテーマは「分級」です!粉体業界で当たり前に使われているけれど、一般的にはあまりなじみのない分級について、粉のエキスパートであるダルトモ先輩に教えてもらいました!
「分級」とは、粉や粒をサイズでわけること。
粉花「粉に詳しいダルトモ先輩! 分級について教えてくださいー」
ダルトモ先輩「粉体業界でいう分級とは、粉や粒を大きさ別にわける作業のことです。スコップで土をすくったときをイメージしてみてください。土の中には、大きな石と小さな砂が混じっているでしょう。それを網ふるいにかけてみると、網目を通る小さな砂は下に落ち、大きな石は網の上に残ります。このように、サイズごとにグループ分けするのが〈分級〉です」
粉花「それって、選別や分類とは違うのですか?」
ダルトモ先輩「〈ものをわける〉という意味では似ています。ただ、分類や選別は色や材質など、さまざまな基準でわけることに用いる言葉です。でも、分級は基本的にサイズだけを基準にわけるもの。たとえば、赤と白の色違いの粒があるとしても、粒径が同じであれば分級できないのです」
粉花「なるほど、分級の基準は大きさなのですね!それにしても、この分級という言葉は一般的にはあまり使わないですよね。私はダルトンに入社して、はじめて聞きました」
ダルトモ先輩「分級はどちらかというと専門用語なので、わけることを表現するときに使う言葉は選別や分類が一般的かもしれませんね。でも、工業や製造業の現場では昔から使われている言葉なのですよ」
分級の目的。なんのためにするの?
粉花「ところで、分級ってなんのためにする作業なのですか?」
ダルトモ先輩「取り扱うものや使用シーンによって異なりますが、主には製造する工程をスムーズにしたり、製品の品質を向上させたりするのが目的です。粉の多くは製品の原料として使われるので、原料となる物質のサイズがそろっていないとうまく加工できない場合があるのです。そういえば、粉花ちゃんはお菓子づくりが得意でしたよね?」
粉花「はい!こう見えてもお菓子づくりにはちょっと自信があります!」
ダルトモ先輩「ケーキづくりのレシピには、小麦粉や砂糖などの粉類をふるう工程がありますよね。わざわざそれをするには意味があって、粉をふるってかたまりをなくし、大きさをそろえておくとバターや卵などほかの材料と均一に混ざりやすくなる。さらに、ダマもできにくいから、焼きあがったケーキの舌ざわりもよくなりますよ」
粉花「確かに!ダマのない粉を使うと生地がきれいに混ざるし、食べたときの食感も全然違います」
ダルトモ先輩「粉花ちゃんがお菓子づくりでやっているふるいの作業は、分級の一種でもあるんですよ」
粉花「私は普段から分級をやっていたんですねっ!」
ダルトモ先輩「そのほか、分級は完成した製品に行うケースもあります。スーパーで売られているアメ玉を思い浮かべてみてください。大きさがそろっていますよね? サイズがバラバラだと見た目が悪くなるなど、商品のクオリティに影響します。だから、分級によってサイズをそろえて付加価値を高めているのですよ」
粉花「分級は食品で行うことが多いのですか?」
ダルトモ先輩「いえ、食品以外にもいろいろな分野で行われます。その一例が医薬品です。風邪をひいたときなどに飲む錠剤は複数の有効成分を混ぜ合わせてつくられていますが、配合されている成分が均一に混ざっていないと正しい効果を発揮できません。物質には粒径が近いものほど均等に混ざりやすいという特性があるので分級をしてサイズをそろえることが重要なのです」
大きく3つある!? 目的別の分級の種類。
ダルトモ先輩「先ほど分級の目的は製造工程をスムーズにすることや製品の品質向上だといいましたけど、その目的に応じて、分級は3つの種類にわけられるんですよ」
粉花「3種類の分級ですかっ!?」
ダルトモ先輩「厳密な定義があるわけではないので、目的別に大きくわけて3つあると考えてくださいね。まず、ひとつめが〈異種分級〉。異なるサイズが混じっている粉や粒を大きさごとにわけていく作業です。ダルトンの振動ふるいなら、ひとつの機械で2〜4つのグループに分類できますよ」
粉花「一気に4つにわけられるなんて便利ですね!!」
ダルトモ先輩「次は〈異物除去〉です。製品の原料となる粉に異物が混ざっていると、品質を低下させるだけでなく、安全性にも影響がでてしまいます。とはいえ、どんなに気をつけていても、粉にする過程で糸や紙くずなどの異物が混ざり込んでしまう場合もあります。そのため、分級機にかけて異物を除去するのです。粉より大きな異物は、指定した網目を通過できないので簡単に取り除けますよ」
粉花「もし、粉と異物が同じサイズだったらどうなるんですか?」
ダルトモ先輩「分級は大きさで区別するので、残念ながら同じサイズの異物は取り除けません。以前、ジャコに混じっているカニを取り除きたいという依頼があったのですが、ジャコとカニのサイズが似ていてうまくわけられませんでした…」
粉花「私はジャコの中にカニを見つけるとうれしくなりますけどね♪」
ダルトモ先輩「まあ、それはいいとして(笑)。3つめの種類が〈保証分級〉です。こちらは規定サイズの網目を通過した製品であることを証明するもので、先ほど説明したアメ玉のサイズをそろえるための分級はこの種類に当てはまります。同じサイズの製品がそろっている前提なので、基本的にすべてのものが網目を通過するはずです」
粉花「なるほど、ただサイズ別にわけるだけじゃなくて、安全性を保ったり、品質を保証したりするためにも分級は行われるんですね」
分級の仕組み。どうやってわけるの?
粉花「ところで、分級ってどうやるのですか?」
ダルトモ先輩「分級の方法はいくつかあり、代表的なのは〈ふるいわけ〉と〈流体の作用を利用した分級〉です。ふるいわけは、ふるいの網目を基準にして〈通過するもの〉と〈通過しないもの〉にわける仕組み。網を振動させて効率よくわけるのが一般的ですよ」
粉花「それって、ダルトンの振動ふるいのことですよね!」
ダルトモ先輩「そのとおり! もう一方の水や空気などの流体を使う方法では、粒子が落ちる速度の違いを利用する〈重力分級〉や、遠心力を使って物質の比重差で分ける〈遠心分級〉などがあります」
粉花「う〜ん、だんだんむずかしくなってきました……」
ダルトモ先輩「分級の仕組みを話しだすと長くなるので、続きは次回にしましょうか。それとあわせて、分級の仕組みを取り入れた分級機についても詳しく説明しますね♪」
粉花「さすが、粉体機械の話が大好きなダルトモ先輩(笑)。次回の分級機の話を楽しみにしていますね!!」
最後までお読みいただき、ありがとうございました! お菓子づくりでよくやっていた粉をふるうことが、実は分級のひとつだと知って勉強になりました♪
次回は、〈分級の仕組み〉や〈分級機〉についてダルトモ先輩にたっぷり教えてもらおうと思います。分級の奥深さをさらにきわめていきますので、みなさまもごいっしょにお楽しみくださいね!